
アメリカに来て車を購入する方法を調べていると、日本人コミュニティや掲示板などで「帰国するので車を売ります」「知り合いが車を手放すけど、買わない?」といった個人売買の話を見かけることがあります。
日本人から買えるなら安心だし、ディーラーより安い。そう思って話を進めたら、「No-Claimでお願いします」と言われることも。
さらに調べてみると、個人売買でも契約書を取り交わしたり、車両の確認ポイントをチェックしたりと、やることがずらり。
それを、アメリカで初めて車を購入する人が本当に全部実行できるのでしょうか?
この記事では、アメリカの車の個人売買で一般的に推奨されている手順を紹介しながら、実際に購入する際の注意点や、初心者がつまずきやすいポイントについて解説します。
- 結論:アメリカの車の個人売買は初心者にはハードルが高い
- まず、個人売買が悪いわけではない
- そもそも、買う側と売る側の状況がかみ合わないことがある
- よくある「アメリカ中古車個人売買」の手順を一つずつ見てみる
- こんな条件なら、個人売買も選択肢にしやすい
- まとめ:個人売買では「自分で判断しなければならない範囲」が広い
- アメリカ生活のお役立ち情報
結論:アメリカの車の個人売買は初心者にはハードルが高い
個人売買はディーラーより安く買える可能性がある一方、車両確認から契約、支払い、登録まで自分で対応する必要があります。アメリカで初めて車を購入する人にとっては、想像以上にハードルの高い取引です。
まず、個人売買が悪いわけではない
個人売買なら、買う側も売る側もメリットがある

個人売買には、ディーラーにはない価格面でのメリットがあります。
たとえば、アメリカで日本人にも人気の高いToyota RAV4の2025年モデル (30,000マイル程度) を例に考えてみましょう。
同じ年式・グレード・走行距離のRAV4でも、ディーラーで購入する場合と個人売買で購入する場合では、価格が異なります。
<Kelley Blue Book(KBB)の相場をもとにした価格イメージ>
| 取引方法 |
価格 |
補足 |
|---|---|---|
| ディーラーで購入 | $33,967 | 【あなた・買う側】中古車ディーラーから購入すると基本的に高くなる |
| 個人売買で購入 | $32,320 | 【あなた・買う側】個人売買なら安く購入できる |
| (参考)ディーラーへ売却 | $30,030 | 【売る側】ディーラーに売却するとこの程度の価格になる |
※価格はKelley Blue Book(KBB)の相場をもとにしたイメージです。実際の価格は、グレード、車両状態、地域などによって異なります。
つまり、個人売買なら買い手はディーラーより安く購入でき、売り手もディーラーに売却するよりも高く売れる、Win-Winの取引になり得ます。
ただし、その「安さ」には理由がある

一方で、個人売買では、車の状態確認から購入後のトラブル対応まで、基本的に自分で判断・対応する必要があります。
しかも、個人売買では「ノークレーム・ノーリターンでお願いします」といった条件での取引も珍しくありません。
アメリカの車の個人売買について調べると、購入前に確認すべきポイントや手続きについて解説した記事は無数にあります。
もちろん、書かれていることの多くは間違っていません。
ただ、「これ、本当にアメリカで初めて車を買う人が全部対応できるの?」と思うようなアドバイスも少なくありませんでした。
そもそも、買う側と売る側の状況がかみ合わないことがある
アメリカでの車の個人売買では、買い手と売り手の状況が大きく違うことがあります。
買い手にとっては、渡米直後に中古車に数万ドルを払う大きな買い物。できるだけ車をしっかり確認して、慎重に話を進めたいのが普通です。
一方、売り手は帰国直前などで多忙で、車を早く手放したいという状況にあります。「No-Claimでお願いします。ご自身で試乗と車両チェックをして決めてください」として、細かい確認や交渉をせず、すぐに決めてくれる買い手を求めているケースもあります。
細かく確認や交渉をしている間に、別の買い手に売られてしまうこともあります。
この温度差が、個人売買のさまざまな場面でギャップにつながります。
よくある「アメリカ中古車個人売買」の手順を一つずつ見てみる

ここからは、個人売買でよく紹介されている具体的なアドバイスについて、実際の購入者目線で見ていきます。
以下は、アメリカの中古車個人売買について解説した記事でよく見かけるアドバイスです。
実際にアメリカで初めて車を購入する人が、本当にすべて対応できるのでしょうか。
「契約書を作りましょう」→そんなに簡単に作れる?

多くの記事で、トラブル回避のため「契約書を用意しましょう」と勧められています。
ただ、実際の個人売買では、「試乗・車両チェックをご自身でして、購入するか判断してください。ノークレーム・ノーリターンでお願いします」という条件で、細かい確認や交渉をせずに売買されることが多いです。
私の場合も、契約書については取り合ってもらえませんでした。
つまり、「契約書を用意しましょう」と言われても、実際の個人売買では、売主が契約書の作成や細かな条件の交渉に応じてくれるとは限りません。
「売主にいろいろ質問しましょう」→質問するだけでは限界がある?
「なぜ売るのか」「事故歴はあるか」「修理歴はあるか」「何か問題はないか」など、売主にはできるだけ質問しましょう、とよく言われます。
ただ、相手が日本人だからといって、すべて正確に答えてくれるとは限りません。悪意がなくても、売主自身が車の状態や仕様を正確に把握していないこともあります。
実際、私が個人売買を検討した際も、売主が提示していた車両の仕様(グレードやオプションなど)が実際とは違っていたことがありました。
質問することは大切ですが、質問だけで車の状態を判断するのには限界があります。
「CARFAXを確認しましょう」→CARFAXは万能じゃない?

CARFAXでは、事故歴や整備記録、走行距離など、車の過去の情報を確認できます。
ただ、CARFAXにすべての情報が載っているわけではなく、現在の不具合が分かるわけでもありません。
個人でレポートを取得する場合は基本的に有料で、売主から見せてもらえる場合でも、それが最新のレポートとは限りません。
さらに、英語で細かく書かれた履歴を、車に詳しくない人が見て、その情報が何を意味するのか判断するのも簡単ではありません。
CARFAXは便利な情報ですが、それだけで車の状態を判断できるものではありません。
「現車確認しましょう」→初心者が判断するのは難しい?
「ボディを確認する」「タイヤを見る」「サビを確認する」など、現車確認のチェックポイントはたくさんあります。
でも、初心者にとって難しいのは「何を見るか」よりも、「それが正常なのか」を判断することです。
たとえばタイヤが減っていても、それがすぐ交換すべき状態なのか、交換するといくらかかるのか、それを値引き交渉の材料にすべきなのかまで判断する必要があります。
ディーラーでは、販売前に車両をある程度整えた状態で販売するのが一般的です。
個人売買では、こうした部分も自分で見て判断するのは簡単ではありません。
「試乗して異音を確認しましょう」→そもそも異音を判断できる?

「試乗して異音がないか確認しましょう」というのも、よくあるアドバイスです。
エンジンの音が正常なのか、タイヤ周りから聞こえる音に問題があるのかなど、異常があれば1,000ドル以上の修理費がかかるケースも珍しくありません。
万が一、購入後にこうした問題が見つかれば、せっかく安く購入しても、それ以上の出費になる可能性があります。
しかし、車に詳しくない人が、その場の試乗だけで判断するのは簡単ではありません。
「PPIを受けましょう」→正論だけど、実行するのが難しい?
個人売買なら、購入前にPPI(Pre-Purchase Inspection)を受けるのが理想というアドバイスも見かけます。
ただ、PPIには売主側にもかなりの時間や手間がかかります。売主がそこまで対応してくれるとは限りません。実際、私の場合もPPIは受け入れてもらえませんでした。
さらに、PPIには200〜300ドル程度かかることもあります。基本的に費用を負担するのは買い手(あなた)なので、購入するかも決めていない車の検査にそこまでお金をかけられるのかという問題もあります。
「PPIを受けましょう」は理想的には正しいですが、実際の個人売買では実行するのが難しいです。
その他にも、初心者にはハードルが高いことがたくさんある?
ここまで紹介した以外にも、個人売買では自分で対応しなければならないことがいくつもあります。
たとえば、
- Titleの確認
- DMVやRMVでのRegistration(車両情報を細かく入力する必要があります)
- ナンバープレートの手続き
- Car Inspection(車両検査)
などがあります。
安く買える分、時間や手間を惜しまないと割り切れるなら、個人売買も選択肢になります。
ただ、渡米後間もない時期に、初めての土地で、分からないことをすべて英語で対応していくのは、想像以上に大変です。
こんな条件なら、個人売買も選択肢にしやすい
ここまで見てきたように、個人売買は初心者にとってハードルの高い取引です。
一方で、次のような条件が揃っているのであれば、個人売買も十分選択肢になります。
- 車に詳しい人が身近にいて、一緒に車両を確認できる
- 時間や手間をかけてでも、できるだけ安く購入したい
- 売主が即決を求めず、時間をかけてじっくり検討することを許容してくれる
こうした条件が揃っていれば、個人売買のメリットも活かしやすくなります。
アメリカで初めて車を購入する方は、個人売買の安さだけで決めるのではなく、こうした条件や手間も含めて、自分に合った購入方法を検討してみてください。
まとめ:個人売買では「自分で判断しなければならない範囲」が広い
アメリカの車の個人売買は、安く購入できる可能性がある一方で、車両確認から手続きまで、自分で判断しなければならないことが多くあります。
そのため、特にアメリカで初めて車を購入する人は、価格だけでなく「自分で対応できるか」まで考えて購入方法を選ぶことが大切です。
なお、私の場合は、最終的にはディーラーで車を購入しました。その際の具体的な購入手順については、別記事で詳しく紹介しています。
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